災害時こそハブラシは必須!健康を守るためのオーラルケアの重要性
災害が発生すると、食料や水、医療品などの支援物資が注目される一方で、口腔ケアの重要性は見過ごされがち。しかし、避難生活が長期化すると、オーラルケア不足が健康に深刻な影響を与えることがある。特に高齢者は、誤嚥性肺炎のリスクが高まり、命に関わる問題に発展することも。災害時こそ、ハブラシをはじめとしたオーラルケア用品の備蓄が不可欠だ。
災害時のオーラルケアがなぜ重要なのか?
災害発生時、水が貴重な資源となるため、歯みがきやうがいが後回しにされがち。しかし、口の中を清潔に保たないと、細菌が増殖しやすくなり、全身の健康に悪影響を及ぼすことがある。
避難生活で起こる健康リスク
- 口腔内の細菌増殖
水不足による歯みがき不足で、細菌が増えやすくなる。特に歯周病菌は、肺炎や心疾患、糖尿病の悪化にもつながる。 - 誤嚥性肺炎のリスク増加
高齢者の場合、避難所でのストレスや栄養不足、体力低下により、誤嚥(飲み込む力の低下)が起こりやすい。汚れた口の細菌が肺に入ると、誤嚥性肺炎を発症することも。 - 子どものむし歯の増加
甘い非常食の摂取や、不規則な生活リズムにより、むし歯になりやすい環境が生まれる。歯みがきができないことで、さらにリスクが高まる。
過去の災害で見えた「災害関連死」とオーラルケアの関係
過去の大規模災害では、直接的な被害だけでなく、「災害関連死」と呼ばれる避難生活中の健康悪化による死亡が多数報告されている。
阪神淡路大震災・東日本大震災・熊本地震のデータ
- 阪神淡路大震災(1995年)
- 直接死:5,507人
- 災害関連死:921人(全体の約14%)
- 関連死のうち肺炎が死因の24%
- 東日本大震災(2011年)
- 直接死:15,899人
- 災害関連死:3,523人(全体の約18%)
- 石巻市では震災直後の肺炎患者が3倍増加
- 熊本地震(2016年)
- 災害関連死:189人(全体の約78%)
- 「呼吸器系疾患(肺炎含む)」が死因の28.4%
これらのデータからも、避難生活での健康維持がいかに重要かが分かる。
水が使えないときのオーラルケア対策
避難生活では、ハブラシや水が十分に使えないことも。そんな時でも、口の健康を守るためにできることがある。
すすぎに使える水もハブラシもないとき
- ティッシュやガーゼで歯の表面を優しく拭う
- 口腔専用のウェットティッシュを活用する
- 唾液の分泌を促すために、よく噛んで食べる
水が少ないとき
- 少量の水で口をすすぎ、汚れを落とす
- 液体ハミガキを活用し、すすぎ不要のケアを行う
子どもへのケア
- 仕上げみがきをできる範囲で行う
- 甘い非常食を摂取した後は、口をすすぐよう促す
入れ歯のケア
- 水が使える場合:夜寝る前に入れ歯洗浄剤で消毒
- 水がない場合:ウェットティッシュで汚れを拭き取る
- 部分入れ歯の金属部分は、綿棒などで清潔に保つ
もし液体ハミガキがあったら?簡単3ステップ!
- 適量(約10mL)を口に含み、20秒ほどすすぐ
- 歯ブラシやティッシュで歯の表面を拭う
- 水ですすがず、そのまま完了!
液体ハミガキは水なしでも使用できるため、災害時のオーラルケアに最適なアイテムのひとつ。
日ごろからの対策が大切
増える「在宅避難」の備え
近年、豪雨や地震による避難生活が「在宅避難」となるケースが増えている。特に「線状降水帯」の影響で、数日間外出ができない事態も発生することがある。
防災備蓄の見直し
- 「家の外への避難用」「在宅避難用」「外出時携帯用」に分けて準備
- ローリングストックで備蓄品を定期的に入れ替え
例:液体ハミガキを普段から使用し、災害時にも慣れている状態にする
栄養面の工夫
避難所では野菜不足が深刻な問題に。
- 野菜ジュースや健康食品を活用する
- 缶入り野菜飲料を常備し、日常的に消費しながら備蓄する
お口の健康を維持するために、日頃から鍛えよう
災害時には、会話の機会が減り、口の機能が低下しやすくなる。日頃から口周りのトレーニングをしておくことが、健康維持につながる。
オーラルフレイルを防ぐ「パタカラ体操」
「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音することで、口の筋肉を鍛える簡単な体操。毎日続けることで、飲み込む力の低下を防ぐことができる。
まとめ
災害時のオーラルケアは、単なる口の清潔維持ではなく、命を守るための重要な習慣。水が不足しやすい環境でも実践できる方法を知っておくことが大切。ハブラシや液体ハミガキを備蓄し、いざという時に備えよう。
防災の準備を見直す際、ぜひオーラルケアも忘れずに!